●Nostalgia |徳永英明
Nostalgia
徳永英明
バンダイ・ミュージックエンタテインメント
発売日 1993-12-10
1993年、名盤「Nostalgia」完成! 2005-09-29
徳永の中で最もコンセプトが強く表れ、また最もシーンに強く彼の精神性を叩きつけた傑作。今の徳永はここから始まった。「JUSTICE」で表れ始めた彼の内面性が、はじめてまとまりあるかたちで実を結んだ一枚。
想像つくと思うが、歌手が自分の暗さだけで勝負した場合、「名盤」よりも「問題作」というカラーがつくもの(レディヘ「KID A」など)。
しかし「Nostalgia」はそうはならなかった。暗さを特徴としながらも、彼は自分の殻に閉じこもりきっていない。何故かここから伝わる彼の姿勢は、「魂の願い」「また明日はくる」等、聴き手と共に前に歩もうとしている姿勢がある。それが要因なのだと思えた。
またラストの「もう一度あの日のように」は決して過去を礼賛するうたではない。シングルなどで手に入れて欲しい「Nostalgia」がいうように、いちばんたいせつなものを失ってはいないかい、と提起する彼の“ついてしまった両膝をもう一度あげて、歩み直そう”がアルバムの味なのだ。
序曲冒頭のウッドベースとピアノによるJAZZアレンジは物語の幕開けとして、映画の中にフィードインしてゆくようだし、実際歌詞の世界は、美しい日本映画の映像をみているようだった。はかなく、美しい。
そして二曲目の「Navigation」で闇を切り裂く疾走感が生まれ、アルバム全体を包む、若者の心の葛藤が展開されてゆく。
この1、2曲でアルバムのフィーリングは完成する。レディヘ「OKコンピュータ」イエモン「SICKS」の数年前にこれほどのものが存在していた。