初秋 (SACD-Hybrid)
浜田省吾
ソニーミュージックエンタテインメント
発売日 2003-09-26
ロック・アーティストというイメージが強い浜田省吾だが、切ないメロディと情緒的な歌詞を持つバラードも、彼の根強い人気の秘密である。セルフカバー・バラードコレクションの第4弾である本作には、グッと渋さを増したヴォーカリゼーション、人生の悲哀を簡素な言葉でつづったリリック、そして、聴く者の心に深く入りこんでいくメロディがナチュラルに融合された楽曲がラインアップされ、彼がバラードの名手であることを改めて証明している。過不足のないアレンジとアコースティック・ギターを中心としたバンド・サウンドも、見事の一言だ。(森 朋之)
『お別れね。でも悲しまないでね。』 2006-02-06
01年「SaveOurShip」発売に伴い「BRIDGE」誌が浜省を巻頭に飾り、9頁(カットを含むと18頁)に渡る渋谷陽一氏のインタビューがあった。そこで興味深いやりとりがある。要旨はこうだ。“浜田省吾は何故こんなに暗いラブソングを作り続けるのか”である。捨てられたフラれたならわかるが、愛し合ってながら何故浜省の歌はこんなに悲しいのか”という浜省への問いかけだ。
浜省は、死という絶対的な別れが横たわる限り愛し合うほど悲しみは深くなるから、という説明を返し、続けて、だからこそ君を好きでいられた人生は意味を成し幸せだったという類のラブソングが最も悲しいのだ、という趣旨を言及。いつか別れが来る。それを人は若い頃から自然と知っている。だからラブソングというのは、本来切ない要素を含んでいるものなのだ、と。
だが浜省と親交の厚い渋谷氏はそこから更に踏み込む。では何故その愛するが故の悲しみを、浜省はこのようにたくさん書くのか、と聞く。そういう悲しい事実があったにせよ、それを忘れて楽しい時もあるし、今が全てと思う時もある。そんな曲を書く手段もあるはずなのに、しかし浜田省吾はもっと深い視点、深い感受性が常にある。それは浜田省吾というアーティストを考える上で、非常に重要だと思うのだが。と述べ更にこう切り出す。“浜田さんはそのように、深い悲しみを伴う別れというのを引き受けてきた、そういう人生だったんですよね。”と。
浜省は笑いながら「……これってインタビューなんですか?(笑)断定してるじゃないですか(笑)そうです、って終っちゃったりして。」で、この話題はここで終っている。さすが渋谷氏のキレ味だ。
真相はわからないが、「初秋」はここでのやりとりに表れた死というものを自分の方に手繰り寄せ、自分と対峙させてくれる深みを持つ作品だ。
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